テームズ河

<B>『ボートの三人男』</B>(ジェローム・K・ジェローム/中公文庫/\190)読了

イギリス産ユーモア小説。3人の男が休みにボートでテムズ河を遡っていくお話
だが、ビクトリア朝イングランドの歴史と風景に彩られた土地土地で事件が巻き
起こるドタバタ小説。

そもそもマイケル・ペイリンというコメディアンが出てるってんでBBCが放映
したテレビドラマを見て面白かったので読んでみた(非売品)。1889年作で、
分かりやすく言えばシャーロック・ホームズの時代で、3人の男のおとぼけぶり
とひねくれぶりと、全然素直じゃないくせに時々妙に感傷的になったり歴史叙述
になったりする文章がなかなか楽しくて、なんともイギリス的で面白い。
訳者・丸谷才一によれば「あれほど野性的でありながらあれほど洗練されており、
あれほど涙もろいくせにあれほど諧謔を愛する、イギリス人の多層的・多面的な
性格の反映なのだろう」とのこと。

ところでこの本は古本屋で買ってきたのだが、前の持ち主が所々に書いた傍線が
残っている。それも土地の名前ばかりで、きっとこの人はこの本を持ってイギリス
旅行に行き、これらの土地を巡ってきたんだろうなあ・・・と思う。うん、確かに
テムズ河に船を浮かべて川上りしたくなる本だね。