午前中は雨

『歳月』(司馬遼太郎講談社文庫)読了

再読。江木栄子がらみで読み返す。
歴史の叙述ってのは、誰の立場に立って書くかで、ぜんぜん印象が違っちゃう
もので、この小説は佐賀の乱を起こした江藤新平側に立って書かれているので、
大久保利通ら政府側は、悪者みたく書かれている。しかし実際はそうでもない
のだろう。この前上野公園で何の気なしに西郷隆盛銅像の横の説明文を読ん
でいたら、細かい事は忘れたが、征韓論のさなかにあって、使者を立てて和平
を説くことを主張、とか書かれていた。司馬遼太郎史観によると、西郷は自ら
を使者として、韓国側に殺させ、それを理由に兵を向ける、というロジックを
持っていたとされる。まあ、どっちが真実なんだかよく分からないけど、西郷
の持っていたとされる考えが180度違っちゃっている。
そう考えると、司馬遼太郎の日本史に対する俗説としての影響力って、大きい
なあ・・・と思う。坂本龍馬のイメージなんて、ほとんど司馬遼太郎に負う
ところが大きいのじゃなかろうか。

西郷といえば、上野の銅像の除幕式の時に未亡人が呼ばれていて、ひと目見る
なり「ウチん人はこンな人じゃなか」とかなんとか言ったそうな。実は西郷
隆盛本人と断定できる写真とか肖像画って、一枚もないのだそうだ。
と、いうのは山下洋輔の『ドバラダ門』に書いてあったので、ホントかウソか
わからない。

今日買った本
『酔って候』(司馬遼太郎/文春文庫/\200-)
竜馬がゆく 六』(司馬遼太郎/文春文庫/\270-)