ゆうびん刑事純情派 第一話

金曜日夜飲みに行っていい加減で午前様で帰ってくると、つるまきが言う。
郵便局の人が来て、ウチへの郵便物がぜんぜん違うところで見つかったという。
聞きただすと、ウチは浦和なのだが、その配達物が、ビリビリに破いて開けら
れた状態で川口西郵便局内で見つかったのだという。しかもその中には大宮の
Kという人の郵便物がその中に押し込まれていたらしい。
郵便物はウチの田舎からで、結婚式の写真を送るように言ってあったのだ。だ
もんで中身はその時の写真とネガだったのである。郵便局の課長さんは、送り
主に内容を確認しておいてくれと言い、明日また電話するとのこと。
をを、こーれは犯罪のニオイがするぞ。
郵便集配物がどのような経路で集められるのかは知らないが、局内で見つかっ
たのなら、これはどう考えても内部犯の仕業である。ウチのポストから盗んだ
のなら、大宮の郵便物と一緒になっているわけがない。大宮の手紙が浦和の封
筒の中に押し込まれて川口にあったというのもなんだか不思議な話であるが、
誰か不良郵便局員の仕業であろう。
というワケで次の日土曜日なのであるが、この日は用事があって家をあけなけ
ればならなかったのである。午前中は気にしていたのだが、結局電話は来ず、
外出してしまった。
夜帰ってくると、思った通り留守番電話が入っていた。掛けてきたのは関東郵
政監察局のOと言う人。をを、こんな組織聞いたことがない。なんかかっちょ
ええ。しかしこの人、話し方に元気が無くて、肝心の連絡先電話番号が聞き取
れないのだ。ほとんど何言っているか意味不明である。
そんなワケで日曜日の朝に、今日は休みだろーなーと思いつつも、これと思わ
れる電話番号に掛けてみた。
「もしもし」(思いっきりふつーの主婦っぽい声)
「あー、関東郵政監査局ですか?」
「はぁ!?」
あーすんません。まちがえましたごめんなさい」
がちゃ。

<つづく>