ごほん。

戦艦武蔵ノート』(吉村昭新潮文庫)読了

吉村昭の小説『戦艦武蔵』の取材秘話というか、製作日記。
昭和41年発表の小説なので、まだ俺は生まれていないが、
ガキのころはこんな日本だったのだろう。作者は世代的には
親父の世代だ。
しかし、今から振り返ってみると、この昭和40年代というのは
隔世の感はある。まだ戦争を引きずってるなあ、と。
ま、それはともかく面白かった。吉村昭は、徹底した取材に
基づいて著作を成すが、それがノンフィクションではなくて、
あくまでも「小説」として書く。オレ的にはノンフィクションに
して欲しいのだが、まあ、作者の狙いがそうなのだからしょうが
ない。司馬遼太郎塩野七生もそうだが、事実を元にした小
説は扱いがやっかいで、どこまで信じていいのか分からない。
ていうのは、やっぱ「事実」と「創作」の間に厳然と線を引くオレ
と、表現したいことのためには、それはどっちだろうと関係が
ないという人との違いなのだろうな。しかし歴史に属する話は
すべて実際のデータを元とした推理・想像の上に成り立って
いるのだから、小説も歴史学もたいして変わらんとは思う。
遺跡の捏造なんてのもあるしね。

買った本。
『東京駅の建築家 辰野金吾伝』(講談社)\2310-