日本周回MINIの旅 四国潰走編(6)

ここらの高速道路は街灯もなく、日が落ちると、すぐに暗くなる。ライトを点けて
少し行くと――おっと。ちょっと車がなにかに引っかかったような感じがする。ち
ょうどロープでもかけられて後ろから引っ張られている感じ。なんだなんだと思っ
たら、水温計が振り切っている。まずい!!オーバーヒートだ!!

あわてて路側帯にMINIを停める。オーバーヒートの時はエンジンは切ってはいけな
い。ボンネットを開けてエンジンのファンを回しっぱなしにしておくのだ。と、
ゆーのは分かっちゃいるが、MINIの非力なファンで本当にそれで大丈夫かいな?
しかもエンジンが焼け付きかかっている時に? というわけでエンジンは切ってし
まう。ともかくエンジンが焼け付いてオシャカになるのだけが心配なのだ。30分
ほどそのまま待って、ラジエータが落ち着いてからキャップを開けると、水蒸気が
もうもうと立ち上る。そこに水を注ぎ込む。うーん、用意していた水がなくなって
しまった。こりゃもうだめだ。完全にOUT。これでなんとか次のパーキングエリ
アにつかなかったら、高速道路上で立ち往生だ。参ったなあ・・・

とっぷりと暮れた高速道路上でそろりとイグニッション・キーを回す。キュルルル
と音がしてブルン! よし、掛かった!

こーゆー時は急いだ方がいいのか、エンジンに負荷をかけないように低速で走れば
いいのかよく分からない。が、回しすぎにならないよう、遅くならないよう、なる
べくエンジンに負荷をかけないようにそろそろと走る。まるでうんこを我慢しなが
らトイレに走っているかのような走りだ。情けない…

なんつっているうちに、まだ10kmも走ってないうちに、またなにかに引っかかった
感じが。これはエンジンのシリンダーが焼け付きかかっているのだろう。
やっぱだめか、と思った瞬間、後ろからパッシング。トラックが後ろにぴったり張
り付いている。こっちはあんたに構ってるヒマなんかないんじゃー!とか言ってい
るウチにエンジンはグググッとうなりをあげ、ボンネットからは白煙が立ち上り、
スピードはみるみる落ちる。こりゃあ、駄目だ。ハザードを点けて路側帯に乗り入
れる。トラックは嫌みったらしくクラクションを鳴らして先へ消えて行く。

そしておいらのMINIは、通る車もまばらな、どことも知れぬ淡路島の山中の高速道
路上で、エンコしているのであった。

<続く>